浄土真宗本願寺派得度習礼の記憶・その6感想など
得礼に行く前は、とても嫌だったんですよ。
勉強不足だわ緊張やプレッシャーはすごいわで。
直前まで「行きたくねえなあ~」って正直思っていました。習礼に行って自分と同じ境遇の方と話していてお互いほぼ同じ理由で「行きたくねえ」って思っていた方もいらっしゃったし、色々お話いていくうちに同じ境遇ではないし同じ理由ではないけれど「行きたくねえ」と思っていた方もいらっしゃるとわかりました。もちろん、自分から得度するんだ!とやる気で来た方もいらっしゃいますよ。
私が参加したときは、新型コロナの検査結果というか陰性証明が全員必要だったので、前々日に検査に行って無事陰性の結果が出たときは「あああ行かなきゃいけないなあ」と思ったほど。
得度講習会に参加したときはここまで「嫌だあ~」なんて思っていなかったんですけどね…。
入所当日、見覚えのある西山別院の門をくぐり、見覚えのある研修道場(習礼教修所)にたどり着き、そこでやっと覚悟した…いやそのときはまだできていなかったかも…。
3日目午前中くらいまではどうなるのかと不安でした。ちゃんとやっていけるのかとか、無事に10日間を終えられるのかとか。でも、先生方のお話を聞いたり、知り合った方と話をしたり、座学のグループワークで他の習礼生の方の話を聞いていると得度する理由は本当に様々で、色々な考えや思いを知ることができて、本当に興味深い濃密な日々になったと今は思います。
色々話をしていくうちに、不安はあるけれど「嫌だな」と思う気持ちはなくなっていきました。私の場合は習礼の日々はどうなるんだろうという不安より、実際に得度してご門徒さんの前に出ることの不安の方が大きくなった感じでしょうか。
座学の講義を受けるにつれ、自分の知識の乏しさを思い知らされました。知識を得る時間を与えられたことはありがたく、知識を得ることは楽しいな、と思えたのは自分にとっては意外でした。とはいえ、座学は眠くなることもありましたし、勤行では足が辛いです。正座が辛い。長時間の正座は痛い。立てなくなるのは自分だけではないとわかっていても、勤行を終えてすっと立てる方を見ると羨ましくなりました。
座学、正信偈の書写があったんですが、よく話をするようになった方と皆で「午前中の座学これだけでもいいよね」というくらい楽しかったし、なんとも気が楽な時間でした。(時間内では完成しなかったのを持ち帰っているので、また時間を見つけて続きをやりたいところです)
剃髪や得度式の話が出てくる頃になると、「もうすぐ習礼終わるんだ!」というゴールが見えてくる喜びと、「終わっちゃうのか…知り合った方ともお別れか…」というちょっとした寂しさが交互に来ました。仲良くなってくるとなんとなく「合宿感」を感じるようになってきたんですよね。時間はタイトだし勤行は厳しいし足は痛いし早起きで眠いし、楽しいことばかりではないのですが、楽しくないことばかりでもなくなってくるので…。
本当に、同じ班の方をはじめ仲良くなった方、お話させていただいた方にはお世話になりました。あの方々がいなかったら私はきっと習礼を乗り越えられなかっただろうなと思います。もっとたくさんお話ししたかったなあ…。
指導員の先生方にも本当にお世話になりました。
行く前はものすごく嫌でしたが、帰るときは「悪くなかったな。来て良かったな」と思いました。(手のひらクルー)
自坊に着いてからの解放感すごかったです。
あと閉所式後にスマホの電源入れたら通知音が止まらず通知の量がえげつなかった。
これから得度習礼に行かれる方には、是非準備万端で行かれることをおすすめします。忘れ物もないように。
入所時に必要なものを忘れれば下手すると入所前から厳しく注意を受けることになりますし、習礼に必要なものを忘れれば、注意を受けた上、自坊・自宅に連絡して送って貰う必要があります。
食物アレルギーについては初日に、剃髪に関して金属アレルギーについても剃髪までに面談があります。どちらについてもアレルギーある方は忘れずに申告しましょう。きちんと配慮して貰えます。
体調不良・怪我なども、少しでも不安あれば指導員に相談しましょう。女性の方で男性指導員には言いづらい…と思うことがあれば、女性指導員に。まあ体の不調は指導員の中で共有されますが。でも無理して座学や実習、勤行に参加するのは本当に良くないので、相談しましょう。
私は得度講習会と得度考査を地元の教区主催のものは新型コロナの影響で参加できず、宗務所主催の研修道場でのものを勧められて参加しました。その時にお世話になった指導員の先生方のお顔を拝見して「この先生もあの先生もその先生も覚えてるぞ…あっこの先生は新入り…」なんて思ったりしていました。(相手は資格持ちの先生やぞ…)
先生方が私のことを覚えていたかは不明ですしおそらく覚えていたとしても「いたなあ」程度でしょうし、一方的にではありますが自分が知っている方がいらっしゃって、全く知らない場所ではないと思えて少し安心したのを覚えています。
宗務所主催、教区主催のどちらが良いのかは正直わかりません。
宗務所主催のものですと、講習会も習礼と同じ会場なので「懐かしい知っている場所」で習礼もできるのは良いことかもしれません。講習会も宿泊込みですので、生活もなんとなく予習ができたような感覚です。起床時間は多少違いますが、起床のことや食事(配膳・黙職・迅速に)とか。習礼が始まって食事のスピードが「早い」と驚かれていた方もいましたね…。
教区主催の講習会に参加できていたら、教区の知り合いが増えていたかもとも思いますが、今となってはたらればの話です。
これから得度習礼に参加される皆様の習礼期間が良いものとなりますように。
浄土真宗本願寺派得度習礼の記憶・その5 持ち物のこと
引き続き、持ち物について
前回も書きましたが、忘れ物がないようにパッキングしましょう。
習礼前に送られてくる書類の中に持ち物一覧があったので、私はそれにチェック印つけながらパッキングしました。
記名は忘れずに。
装束は皆同じです。教本も皆同じです。(一番ぶ厚い聖典は、仏教学院出身の方がカバーつけてて、あれ良いなって思いました) 基本的に見分けつきません。なくしたとき、取り違えたときに自分も相手も拾ってくれた方も困らないように、記名しましょう。
あと下着。下着も皆似たり寄ったりです。洗濯後、物干し場は白衣に襦袢に下着!女性は裾よけも!白いものばかりで記名がなければどれが誰のものかわかりません。「このあたりに干したはず~」で回収すると、自分のものではない誰かのものを回収してしまう可能性があります。
そう、下着。過去に先達がブログなどですでに書いていらっしゃいますが。
白です。白と言ったら白です。書類にあるように色物柄物やレースや飾りのあるものは不可です。
確か初日に「皆さん下着は白ですね?」と確認されました。さすがに指導員に直接見られることはありませんが、もしも色物の下着が透けて見えていたら…注意されます。
白のものを持ってきていなければ用意しろと言われます。多分。
ネットなども駆使して探して用意しましょう。
(習礼中に注意された方がいるかはわかりませんが、講習会の時に注意されてた方は実際に見た)
そのほか、持って行って良かったもの、これ良いな、あったら良かったな、と思ったものなど。
・小さいメモ帳とノート
ノートは言わずもがな講義用。薄いので良い。A5でもB5でもお好きなものを。
ノートにめっちゃ書いてる人とそうでない人とそれぞれでした。多分私は中間。
小さいメモ帳は、そのほかメモ用。普段は袂に入れておき、連絡事項など忘れては困ることを書いてました。勤行後の指導員からの講評を書き留めるのにも便利でした。
・腕時計
時計を探さなくても、時計がない場所でもすぐに時間を確認できるのは便利。
目覚まし時計はなくても良いと思いました。5時半になると音楽が放送されますし、私は大抵5時には目が覚めていました。普段は5時には起きないのに。
・草履タイプのスリッパ
鼻緒があると飛んでいかない(絶対ではないでしょうが、脱げにくい)…他の方が履いているのを見て、いいなあと思っていました。
あと、滑りにくいものが良いです。滑りにくいもの。
・エコバッグ・お風呂セットを入れる小さいバッグ
エコバッグは教本類入れて持ち運んだり…予定によっては多くの教本持ち運ぶので。なくてもそれほど困りませんが、あっても良かったかも。
お風呂セットを入れるバッグは、シャンプー類を入れるのもそうですが、下着をそのまま持ち歩くわけにいかないですしね。お風呂は宿泊棟内ではなく一旦外に出ます。落とし物防止、人の目に触れるの防止のためにもあると良いです。
・洗濯ネット
白衣や襦袢、足袋、下着を洗濯するときに使います。
洗濯ネットがあれば余程のことがなければ、洗濯時に人の衣服と混ざらない。
・洗濯洗剤
自分で用意するよう書類には書いてあるけど、忘れずに。
粉末の小分けパックを私は持って行きましたが、ジェルボールタイプを持ってきていた人も。最近はアタックの粉末スティックが発売されて、あれ良いなと思いました。
そういえば、一度だけエレベーターホール前にあった台に、落とし物のジェルボールがぽつんと置かれてたな…落とし主見つけたかな…
・ハンガー、ピンチハンガー
洗濯物干し場にハンガーもピンチハンガーもありますが、タイミングによっては使われていて干せない…なんてことも。私が参加したのは夏で天気も良い日が多く物干し場の回転率は良かったと思いますが、これから先、定員は増えましたし季節によっては…なので洗濯で使う最低限を持って行っても良いかもしれません。
ピンチハンガーだけは100円ショップの小さいのを持って行ってたので、それを使いました。
持って行かなくて良いよー、とブログ等で書かれていた方もいらっしゃいましたが、私はあっても良かったな…と。ただし、前にも書きましたが部屋で干すことはできません。
・のど飴・トローチ
エアコンでの乾燥が原因なのか、お勤めなどでの声の出し方が悪いのか喉の調子が悪かったので、のど飴やトローチを持って行って良かったです。
のど飴、スーパーなどで買えるお菓子扱いのものはNGです。医薬品か医薬部外品を用意しましょう。私が持って行ったのはヴィックスドロップスとトローチと龍角散ダイレクト。使い分けました。
・その他医薬品
サロンパスは使いました。
生活環境や生活リズムが変わるので、下す方でお腹の調子悪くなるかな…と思っていたのですが、詰まる方で調子が悪くなったので便秘薬を持って行けば良かったです…。詰まるの甘く見てはいけない。聞くとやはり出ないという方が他にもいらっしゃいました。
風邪薬はお守りで持って行きました。
持参した市販薬を実際に飲んでいた方はいるので、ご自分の体調と相談の上で持って行くのが良いかと思います。
・小銭
食堂に自販機があります。利用されるなら小銭必須
私は結局2回くらいしか利用しませんでした…時間なかったり気力使い果たしたりで。
ジュース飲みながら他の方と話するのは楽しかったです。
・冷感ウェットシート
夏だったので持って行こうと買っておいたのに忘れていきました。
晨朝勤行や実習が西山別院の日は特に汗だくだったので、忘れたことを後悔しました。
冬に行かれる方は、使い捨てカイロがあると良いかもしれません。
(講習会も研修道場で受けましたが、冬ではなかったので寒さがわからない…)
ハンカチやハンドタオルは枚数いらないです。
研修道場にいる時はほぼ使わないです。トイレや洗面所にはお手拭き用のペーパータオルが置いてあります。でもハンカチを全く使わないということではないですし、涙もろい人は必要です。
バスタオルもこだわりがなければスポーツタオルやフェイスタオルの方が良いです。干しやすく荷物としても小さい。
思い出したら、また書きます。
浄土真宗本願寺派の得度習礼の記憶・その4 得度式のあとと持ち物のこと
最終日の続きとその3までに書き忘れていたこと。
最終日、参拝を終えて研修道場に戻り、布袍に着替えて部屋や宿泊棟の清掃、片付け、 荷物の整理整頓をします。その後、閉所式となります。
最終日は普段より更に早起きになりますので、前日夜までに洗濯物は取り込んでパッキングしておきましょう。(要するに得度式終えてから洗濯はしない方がいい。最終日に取り込む時間はない。最低でも10日目の朝までに干せる、10日目の夜までに取り込めるのが洗濯の条件…)
その他生活用品や教本等も最終日に必要なもの以外は10日目夜にパッキングしてOKです。私はした。
清掃や荷物の整理整頓を終えたら、全員荷物を持って廊下に出ます。適切に清掃や棚の整頓がなされているか、忘れ物がないかを指導員と確認し、OKが出れば荷物を持って西山別院へ向かいます。
この際、別院に入ったらスーツケースのコロコロは使えません。持ち上げて、傷防止のシートが敷かれた場所まで運びます。重い!重いよ!!
荷物を置いたら、名札を返却し、自分のスマホを回収して本堂で閉所式です。
代表が焼香し、合掌礼拝。研修道場所長と指導員のお話を賜り、班長と次長がバッジを返却し、恩徳讃を斉唱して終了、解散です。(順番違ったらごめんなさい)
そう、布袍輪袈裟で解散です。洋服には着替えません。
帰宅し「無事に得度できました」と僧侶となった自分を見て貰い、報告するためです。ご恩返しのためです。
布袍輪袈裟で解散だとご存じの方も多いかもしれませんが、私は行く1週間前まで知りませんでした。住職も誰も教えてくれなかった。もちろん書類にも書いてない。
おそらくこれから得度習礼に行かれる方も聞かされると思いますが、過去に京都駅のトイレや門法会館でお着替えされた方がいらっしゃったようで…クレームが入ったそうなので…めっちゃお叱りを受けたそうなので…。退所した初っぱなから本山や研修道場に迷惑かけるのやめようね…。本当にそないなところで着替えるのはやめましょう。特に駅のトイレ。公共のものですよ…。
輪袈裟には下り藤の御紋入ってるから知ってる人はすぐわかるし、調べれば習礼の予定もすぐ出てくるからね…どうしても着替えなければいけないなら少し考えましょうね…。
個人的には門法会館も「着替えるのにそこ使う?習礼生ってモロバレですやん」と思いますが…。
タクシー利用についても多分言われると思うので、そこはきちんと聞きましょう。タクシーを使ってはいけないということではないです。
それから、スマホ返却時にじゃがポックルの箱があったんですが…誰だいじゃがポックル持ち込んだの。誰かへのお土産だったのか。それとも自分へのご褒美…?最後にちょっと心和んだよ。
指導員の先生方は、実習、勤行中は厳しいです。厳しいことも結構言われます。が、得度習礼を終えて得度式を迎え僧侶となった私たちは、慣れていようがいまいが、練習が十分だろうが不十分だろうが、門信徒の皆さんの前に出てお勤めをする立場になります。その時に、門信徒の皆さんを不安にさせるようなお勤めはできません。初心者マークがつくような状態でも、門信徒さんから見れば「プロ」なわけです。足りないと思うところはしっかり身につけられるように取り組みましょう。(ほぼ指導員の先生の受け売り)
指導員だって好きで厳しくしているわけじゃないですし(多分…)。
もし、習礼期間中に体調不良になったら、指導員に相談して下さい。足を傷めた、などもです。内服薬や湿布、塗り薬など用意して行かれる方が殆どだと思います。私も持って行きました。でも、どうにもならないこともあります。
得度するんだ、習礼を終えるんだ、と無理してしまいがちですが、指導員も「無理して得度習礼終えられないのは駄目」と言います。必要ならクリニック受診もできます。
実際、目のトラブルで眼科受診された方がいらっしゃいました。
また、私の時は全員習礼を終えられましたが、実際に体調不良で中途退所された方も過去にいらっしゃった様子。中途退所してもまた得度習礼は一からです。
指導員の先生方、習礼生全員を得度式に送り出せるようにして下さっていると、見ていて思いました。
ググって出てくる昔の情報と比較すると、昔ほど厳しくないと感じます。
(足が痺れても立たなければならなかったとかそれで怪我するとか怖ぁ…)
習礼、頑張って下さいね。
続いて、持ち物のこと。
・忘れ物はしないように
忘れ物をすると、事務所前の公衆電話で家に電話して送って貰わなければなりません。
・名前は書いておこう
できればフルネームで。兄弟姉妹ではなくても名字かぶりは普通にあります。無記名や名字だけでは紛失したときや落とし物などわからなくなります。
実際、洗濯物や雪駄は取り違いがあって記名は本当必要…
次は、持って行って良かったもの、あれば良かったものなど書きますね。
浄土真宗本願寺派得度習礼の記憶・その3 得度式
得度式のこと。
得度式が近づいてくると、剃髪や俗袴の着付け方や得度式の習礼があります。
剃髪は、男性は入所前に一度短くされると思いますが、ここでまた更に短くなります。剃髪後に研修室入ったときに「景色違う」と思う程度に変わります。本当に青くなる。
女性は襟足のみ剃ります。希望者は剃髪ありますが、私たちの期は希望者いなかったですね。
俗袴は男女で結び方が違うので、講習は別々で。何度か着付けと動く練習をしておくように言われます。慣れないと動きにくい&裾を踏みますからね。得度式で転びたくないですよね。まあ私は得度式で裾踏みましたが。意地でも転ばなかったけど。
得度式、成績優秀者は代表として最前列に座ります。代表として度牒や黄袈裟など受け取る役ではなくても最前に配置される人もいます。代表ではないのに最前に座ることになっても気にしなくて良いです。「ご門主のお姿やお顔を目で追ってはいけない。真っ直ぐ前を見ているように」と言われますし、実際お顔をじろじろ見たら失礼ですよね…。
まず直にご門主のお顔を拝見する機会はありませんから、見たくなる気持ちはわかりますけどね。自分だったらじろじろ見られたくないですからね。
ま、最前になったらそれはそれで緊張するでしょうが。
得度式の流れも練習します。
でも、当日も「間違えてはいけない」って緊張しました。
その得度式。
暗い中で、緊張していて、あっという間の時間でした。
作法も間違えることなく(袴の裾は踏んだけど)終えることができました。
「これで正式に僧侶になるんだ」と思うと涙が出そうになったりも。
厳粛で、一度きりの特別な時間でした。
得度式終了後、度牒と法名を無事に頂きました。
終わったときはほっとしました。これで帰って良い報告ができる、と。
本当は、得度式に出発する前の指導員からのお話で少しうるっとして、得度式でうるっとして、研修道場に戻ってからの教育主幹の先生からのお話でうるっとして、涙腺ゆるゆるでした。
本山に着いて道場に帰るまで時間タイトで動いている間はそれどころじゃなかったんですが、涙腺…こっちもなかなか忙しかった。
そんなこんなで宿泊の部屋に戻り、布袍に着替えての夕食は、お祝い献立でした。ありがたく頂きました!
翌日は、本山での晨朝勤行の後、龍虎殿の鴻の間で御斎をいただき、その後、大谷本廟を参拝しました。僧侶になって初めてのお勤め、参拝。少しだけ見える景色が違うような気がしました。僧侶としてこの先歩んでいくんだ、と思ったのを覚えています。
次は、参拝を終えて研修道場に戻ってからのことと、生活のことで書き忘れていたこと、それから持ち物のことを書こうと思います。
浄土真宗本願寺派得度習礼の記憶・その2 生活編
2023年8月度の本願寺派得度習礼の記録と記憶
今回は生活編
初日は受付で健康チェックシート(体温など)等を提出し、班と宿泊の部屋を確認して荷物を持って自分の部屋へ移動、衣体や教本・荷物を整理整頓します。不要なもの(スマホや音楽プレーヤー、お菓子など)を指導員が回収します。
放送でいろいろ案内があるので、放送は聞き逃さないように(まあ、慣れてきたら同室の方や同じ班の方に聞けば良いけど。トイレとか放送聞こえない・聞こえにくい場所があるので)
宿泊部屋は、部屋の広さにより2~6人とばらつきありました。
定員50人での人数なので、定員が70人に増える12月以降は1室あたりの人数が1~2人増えるのかなあ。大体同じ班の人で構成されますが、人数の都合で違う班の人と同じ部屋ということもあります。
で、布袍・輪袈裟・単念珠の装束で研修室に集合、開所式が始まります。
ここで班長と次長を指名されます。
班内で話し合って決めるのではなく、指名です。選出基準は知りませんわかりません。指名されたら大人しく拝命して下さい。
その後、理解度調査テストです。頑張って下さいね。
午後は何だったかな…講義などか。
二日目は、親鸞聖人ゆかりの地と比叡山延暦寺の参拝です。参拝といいますが勉強の一環です。そして歩きます。
延暦寺で行き会った観光客の方が「なんだろう本物(の坊さん)? 修学旅行? コスプレ?」と言っていたのを覚えています。修学旅行にしては年齢幅すごいよねー。高校生から70代までだもんね。
衣を着て人から見られることの意味を考えました…。気が引き締まりますね。
研修道場に戻り夕食後に講義や就寝勤行などあります。
一日の生活の基本的な流れとして…
5時半 起床、点呼・清掃、晨朝勤行
8時 朝食・自習
9時~ 座学
12時 昼食・自習
13時30分~ 座学・勤行実習
16時 清掃(45分間みっちりと)、日没勤行
18時 夕食・自習
19時~ 座学・勤行実習・就寝勤行
20時55分~ 風呂、自習
22時30分 就寝
風呂以外は時間厳守です。(お風呂の時間はズレることが多々…)
時間や予定の変更がある場合は、食事の時間や放送などで指導員から連絡があります。
晨朝勤行は、2日に1回、内陣出勤の当番が回ってきます。日没勤行も同様なので、結局毎日何かしらの勤行当番があります。
役配に関して、晨朝勤行での調声人と日没勤行での導師はどちらか一度しかできません。その他、一度担当した係はできません。(例えば、正信偈で和讃二首目を担当したら、別の正信偈当番日に和讃二首目はできません)
生活当番担当日には、就寝勤行も担当します。お勤めするのは生活当番の進行係だったと思います。供香は生活当番担当班なら誰でも良いです。
勤行準備も役配も、色々経験する良い機会だと思います。
晨朝勤行は研修道場の3階講堂か、西山別院のどちらかでした。
西山別院での晨朝勤行は、ご門徒さんもいらっしゃることがあります。私が西山別院での勤行の日は、毎回ご門徒さんがいらっしゃいました。
得度式まではまだ僧侶の身分ではありませんが、ご門徒さんの前でお勤めしなければならず、正信偈・念仏・和讃・回向どれも音程や節、拍が違っていれば、当然ですがご門徒さんの前で注意されるわけです。足が痺れて立てないところも見られています。(習礼生のこの光景をご門徒さんは見慣れてると思われる…)
それでも、西山別院でお勤めできたのは良い経験だったなあと思います。
座学は、正直眠くなることもありました(眠くなったのは私だけじゃないよ!)が、普段自坊では勉強できないことが勉強できたり、なかなか聞けないお話が聞けて良かったです。グループワークも皆さんの色々な考えやお話が聞けて、貴重な時間でした。
勤行実習は、「読み方・おとなえの仕方」の確認を細やかにして頂けました。
食事後は休憩と自習の時間です。
お風呂の時間や清掃場所は、班ごとに毎日日替わりで指定されています。夜は講義などが時間オーバーすることが多く、お風呂の時間はもちろん晨朝勤行やその他勤行当番の確認や予習をしたいときは時間がなかなかタイトでした。
わからないことがあるときは、自習時間に指導員に確認に行きました。習礼期間前半なら勤行の作法の確認なども指導員にお願いすると練習見て頂けたりします。期間終わり頃になると勤行作法は「班内で経験者に確認しろ」って言われるけどね。言われたよ。
でも、わからないことは聞きに行った方が良いです。絶対に。
その1にも書きましたが、衣体の畳み方はチェックされます。そのほか、衣体の片付け方、教本の置き方や荷物が整理整頓されているか、布団はきちんと畳まれているかも見られます。午前中の座学の時間にチェックされます。
チェックに引っかかった場合、部屋に戻ると何が駄目なのか書かれた付箋が棚に貼られています。引っかかったものを直して指導員の再チェックを受けOKを貰えるまで付箋を剥がしてはいけないらしい…。
あと、衣体と教本、筆記用具以外の生活用品などは、スーツケースに入れるなどして使用時以外は棚に置いたままにするのはやめましょう…。スーツケースやバッグが開けっぱなしなのもだめです。チェック対象です。
食事内容はバラエティー豊かです。カレーは2回出た。昼食がうどんの日もあったし、夏だからか冷麺も出た。
量は正直女性には多いかな? 男性は足りる方足りない方それぞれかもしれない。
途中で「多いと思ったら調整していい」と聞かされるまでお残しアカンと思って頑張って食べていました。
ご飯は食べられる方はおかわりできます。
洗濯は、毎日はできません。いや、しようと思えばできるかもしれませんが、私や周囲にはそんな余裕はなかった。だいたい2~3日に1回、誰かと一緒に洗濯してました。
班ごとに使える洗濯機が決まっています。
洗濯機が使えるのは朝食後~夜寝る前までです。就寝前までに洗濯が終わってないと駄目です。
それから、洗濯物を自室に干すことはできません。干す場所も決まっています。
(タオルだけはタオル掛けが部屋にありますが、バスタオルは干せない。こだわりがなければバスタオルは避けた方が良いと思う)
布袍や黒衣を着ているとき、俗袴をはいているとき、どこかに引っかけないように気をつけましょう!! ドアや机、椅子、外出時に乗るバスの座席などに引っかけて縫い目の糸が切れてしまったりほつれてしまったりすることがあります。普段着慣れているものではないと思います。私も机やバスの座席で布袍の袖を何度か引っかけそうになりました。私は運良く修繕しなくても済みましたが…。
得度式や最終日が近づくと、剃髪や得度式についてなどのお知らせが来ます。
プリントが部屋に貼り出されたら読んでおきましょう。
(私はギリギリまで読む時間なかった。なんでや)
次は得度式のこと書くよ
浄土真宗本願寺派の得度習礼の記憶・その1 これやっておこう!
2023年の8月度の得度習礼に参加させて頂き、無事に得度式を終えて僧侶となりました。
習礼に行く前に色々検索かけて、これ知りたかった!と思うことを記事にして下さっていた方がいらっしゃってとても助かったので、私の記録も参考になれば…と記すことにしました。
何回かに分けて書こうかなと思っています。
もし同じく2023年の8月に得度された方がうっかり検索かけてこれを読んで「これあいつじゃね?」と気付いたとしてもそっとしておいてくださいね!
まず、行く前にこれやっておこう編。
正信偈は無本でおとなえできるようになっておきましょう!草譜も行譜もです!
習礼7日目以降の晨朝勤行では「唯可信斯高僧説」までは無本です。
できて当たり前だろ!と思われるかもしれませんが、私はできないまま行った…。そして実は完璧と言える人の方が少なかった…。(別の班の方に聞いても、全員完璧ということはなかった模様)となるとどうなるかというと、皆最初の方は声を出せるのですが、段々声が小さくなっていくんですよ…自信がないから。できる人の声に合わせてついていくんだけど、当然指導員の先生方にはわかりますよね、暗誦できていないこと。
これについては閉所式まで言われました。本当に言われたんだよ…閉所式で…。
理解度テストのテスト勉強
得度講習会で習ったことは最低限で、そのほか僧侶教本をおさらいしましょう。
選択式の問題はなく、すべて記述式なので漢字も正しく覚えましょう。蝋燭くらいはひらがなでも良いと思う。私はろうそくとひらがなで書いた。その問題は「漢字で書け」って書かれてなかったから!
他の期のことは知りませんが私たちのときは全体的に出来が悪かったようで、ごく一部の出来た方以外は再試でした。私も再試組です。多分点数8割取れなかったら再試かな?テストの点数教えて貰えないのでわかりませんが。
以前あったらしい習礼期間中の実技テスト(正信偈、和讃と回向、御文章、領解文)はなかったです。
色々調べていたら8月期だけではなく6月期もなかったようですね。この先もないのかどうかは不明です。
上記二つは必須かな。
あと
・新しい領解文
・領解文
・浄土真宗の生活信条
・私たちのちかい
・僧侶の心得
・食事のことば
も覚えましょう。習礼中どれも唱和します。新しい領解文は、得度式でも唱和します。
晨朝勤行での作法も、講習会で習った範囲はおさらいしておく。
仏事勤行と出棺・葬場勤行は一から教えて頂きましたが、予習はしていった方が良いと思います。発音や音程も本当に一からでした。
私は三奉請と葬場勤行の和讃が苦手…今も復習かかせません。
正座には慣れておいたほうがもちろん良いですが、痺れて立てなくても大丈夫です。今は立てるようになるまで足を崩してその場で待たせて貰えます。勤行当番で内陣出勤していてもです。無理して立ってはいけません。けがのもとですし、指導員も止めます。
ただし、得度式では立てないと困るかもしれない。時間がすごくタイトだから。私は得度式では痺れかけてたけど頑張って立ちました。(どれだけ正座弱いんだって話)
あとは……衣体の着方と畳み方、墨五条袈裟の威儀の結び方の復習
短時間で着替えなければいけないこともあります。慌てていると威儀の結び方間違えるんですよ…。威儀の結び方は勤行前にチェックされます。されていないと思っても「違いますよ」と言われることも。また、黒衣や墨五条袈裟は座学の間に畳み方のチェックが入るのできちんと畳めるようにして置いた方が良いです。
習礼中の生活についてはまた次にでも。